祖父を想う
深夜、バニシング・ポイントを観る。
バリー・ニューマンに、長距離トラックドライバーだった祖父を想う。
お前は優しく賢いと、祖父に呪文のように言い続けられた。あれ以上に嬉しかったことは無い。僕が本を読むと祖父は喜んだ。だから目が潰れるくらい本を読んだ。目が悪くなった。そのことすら祖父は喜んだ。本をたくさん読んだからだと。本に書いてあったことは全て既に祖父から学んでいたことだった。
記憶。
時が経つにつれ美化されていくことを痛感する。
美しさの意味さえ僕は祖父の死から学ぼうとしている。
卑怯なのだろうか。
美しさは、美しさから学ぶことは出来ない。
ただ日々を繰り返すことでしか。